SwitchBotで水温を測る!【長編】

SwitchBot

※【ご注意ください】2024年9月14日現在
 SwitchBot温湿度計の使用センサーがSHTC3からSHT40(シルク印刷はSH40)に変更されているのを確認しました。この記事のSHTC3センサーを使用すると動作しない様ですので、改造前に使用されているセンサーをご確認ください。
簡単な見分け方は、大きさが SHTC3(2.0mm X 2.0mm)、STH40(1.5mm X 1.5mm)と小型です。C21チップがLCDドライバーAIP16C21のVDDピン下側(温湿度センサーを上とし場合、電池ボックス側)に配置されています。

詳細は関連記事「新・SwitchBotで水温を測る!【SHT40版】その3」をご参照ください。

2025年1月23日(木) 1:59 27秒現在の我が家の水槽水温と防水プローブ内の湿度です。

上記表示はShow Temperature for SwitchBot MeterWordPressプラグインを使用しています。実際のSwitchBotトークン情報でSwitchBot APIから温湿度計データを取得し、写真上のLCDに表示する仕組みになっています。※写真は今回改造した水温計とは異なります。

SwitchBot温湿度計の水温計への改造に際し「F&FのBlog風Next」さんの
以下「Wi-Fi/小電力/ワイヤレス温湿度計」記事を参考にさせて頂きました。https://www.fnf.jp/blog2/2021/12/post-2901/

はじめに

省エネ目的で各部屋に設置していたSwitchBot温湿度計のデータと合わせて「熱帯魚水槽の水温データも見たい」との思いから、SwitchBot温湿度計を水温計に改造することにした。幸いにも前述の「F&FのBlog風Next」さんが実践されているのを知り、SwitchBot温湿度計のセンサー部分の延長&防水化を進めることに。

注意事項

この記事はSwitchBotの分解・改造を推奨するものではありません。 
取扱説明書等でも「分解禁止」が明記されています。(*)
分解・改造には故障、事故、火災など様々リスクを伴います。
筆者並びに当サイトでは一切の責任を負いません。

(*)SwitchBot安全に関する情報サイト
   → SwitchBot温湿度計について安全上と使用上のご注意(必ずお守りください)

用意したもの

  • SwitchBot温湿度計 2台(一台は水温計用、もう一台はベンチマーク&予備用として準備)
  • SENSIRION SHCT3 基板付センサー 2個 (予備)
  • 4芯電線 AudioTechnica AT7124F 5m
  • 収縮チューブ 1.5φ、8φ、15φ
  • シリコンコーキング コニシXXX ※色付きや防カビ剤入りは飼育水槽に向かないとのこと
  • 防水小物入れ 
  • はんだ付け道具一式
  • 電動ドリル、ニッパー、ラジオペンチ、カッター、ドライバー、ハンマー、棒ヤスリなど
  • テスター
  • 3Vスイッチ付き電池ボックス(動作確認用にあると便利)
  • 液体プライスチック BONDIC EVO
  • キスゴムとホースフック (余ってたエーハイムの4014100を使いました)
SwitchBot温湿度計、SHTC3センサー、4芯ケーブル
道具たち

まずはSwitchBot温湿度計の分解から

裏蓋と電池を外すと下部左右2ヶ所に横長穴がある。
本体ボディーと背面ボディとの間に細いドライバー等を差し込み隙間を作る。
さらに横長穴に届く位置まで注意深く差し込む。


隙間が広がったら少し太めのドライバーに変え、先ほどの横長穴にドライバーの先端を引掛けたら、慎重にこじって背面ボディー部を写真の位置まで引出す。


次に右側の青いドライバを抜かずにゆっくりと右側面にずらしていき、写真の位置(側面を固定しているツメがある)まで来たらゆっくりとドライバーをこじって背面ボディー右側を引き出す。
ここまできたら反対側は簡単に外れた。


無事、背面ボディーが外れた。

写真は旧タイプのモデルです(後述)

想定外の出来事。構造が違う。

最新モデル、旧モデルとは構造が変わっていた。
大きな違いは
 A.回路 ※特に重要なI2CインターフェースのSDA/SCLのランド位置(緑○部分)
 B.LCD取付方法 ゴムコネクター接続から金属端子で基板直付け
小さな違いは
 a.Bluetoothペアリングボタン部品
 b.外側から基板上のBluetoothペアリングボタンを押すためのパーツ形状
 c.Bluetoothアンテナ位置

写真上部の背面ボディーパーツは裏返しにしている
右側の新タイプ基板ではI2CインターフェースSDA/SCLのランド位置が電池の真下にきてしまい、配線の取り回しに工夫がいる。最終的には電池ボックス下部をカットすることになった。

それぞれ基盤とLCDを取り出してみる

左側の旧タイプはLCD+ゴムコネクター、LCD押え、基板に分けられるが、右側の新タイプはLCDど基盤が一体化している
旧タイプは基板の金メッキ部分とLCDがゴムコネクターで繋がる構造で、LCDと基盤が容易に分離できる。
新タイプはLCDが基板に直付けされているため、LCDと基盤が簡単に分離できない。
金メッキ分コストダウンできるのかな?生産性向上のためなのか?
おそらくどちらもだろう。

構造・基盤の確認

今回改造するのは新しく購入した新タイプの方なので、構造と基盤の確認を行う。
先ほどのI2CインターフェースのSDA、SCLのランド位置を確認。
基板左側の「2240」とプリントされた下あたりに、縦にならんで上からSDA、SCLの文字が読み取れる
このランドから配線する。

センサー電源は、できるだけ安定した電源を確保したいため、「F&FのBlog風Next」さん同様にLCDドライバーIC端子から取る予定。下の写真のICがLCDドライバーだ。

AIP16C21のピン配置は以下の通り。
左下1番ピンVDDがドレイン(+プラス)、4番ピンVSSがソース(ーマイナス)


Amazonで購入した基板付SHTC3も確認する。
センサー基盤がネジ穴があるベース基板に取り付けられている二重構造だ。
センサー部の基板には幾つか部品が付いているが、電源系とプルアップ抵抗などか?
よくわからないのでこのまま使うことにする。

センサー部を起こした状態
白い四角い部品がSHTC3本体

基板へのマーキング

配線を間違えないよう、基板の表裏を確認しながらマーキングする。慎重に!
ちなみに基板最上部「U6」表示の黒い部品が温湿度センサーSHTC3だ。

温湿度センサー本体 SHCT3の取外し ※これが一番大変だったかも

まずは基板に付いているSHTC3を取り外す。センサーはDFNパッケージでピンがなく、基板に直付け(オーブンで焼かれてる)されており、これにはかなり苦戦。
「F&FのBlog風Next」さんの様に上手く外せなかった。

結局、はんだごてでは上手く外せず、ニッパーでパチッと・・・外せた(引きちぎった?)
ひどい仕上がりです。だってセンサーが小さいんだもん。

センサー残骸が残っている
取り外した・・・というか、引きちぎったセンサー

SHTC3はホントに小さい部品だ。その小ささ2mm X 2mm X 0.7 mm
はんだごて先が端子に届かない・・というか端子が小さすぎてほとんど見えない。更に老眼で見えない。

巨大な1円玉・・・ではない(笑)

配線&はんだ付け

最近老眼が進み、細かなはんだ付けに苦戦した(笑)
おまけに鉛フリーはんだ(融点220℃)を使用したため、溶けても乗りが悪い..
そんなこんなでLCD VSSピンへのはんだ付けに手こずってしまい、熱でICを壊しても嫌なので、あきらめて電池ボックスのマイナス端子からマイナス電源を取ることに急遽変更した。

はんだメッキは必須です
センサー付属のケーブルを切って使用する
間違えないようにセンサーのピンに差す

まずは動作確認・・・・あれっ、動かん...

満を持して、いざ、スイッチON・ ・ ・ ・ ・ あれっ、動かん。
配線は間違っていない。テスターで調べてもはんだ付けしたところと、コネクター先端とは導通している。もしかして・・・・と思ったら予感的中。
基板からセンサーを無理やり外したので、センサーの一部が残り、引きちぎられたれた残骸が短絡していたようだ。

左上側が怪しい。


原始的だが指でこすってみた。

念のため液体プラスティック(レジン)で保護する。

動いた!

動いた!
ちゃんと温度・湿度が表示される。
感動!!

動作検証① 最短配線での確認

同時に購入した比較用の温湿度計を使って、しばらく様子をみる。
まったく問題ないように見える。ラッキー。

動作検証② 5m配線での確認

どれくらいの長さまで使えるのか?
ケーブルの静電気容量やI2Cインターフェースの仕様も関係するだろうし。
とりあえず今回ケーブルは5m購入したので、そのまま接続してみた。
あっけなく動作した。

比較用の温湿度計とほとんど差がない

改造していない基準センサーとデータ比較してみる。改造した方は0.1℃前後の細かな変動がノイズの様に出ているが、水槽の水温監視用としては許容範囲だ。ちなみにケーブル長10cmと5mでもデータ特性は、ほとんど変わらないことが分かった。用途によるが意外とI2Cインターフェースって懐が深いと感じた。

基準センサーデータ
改造センサーデータ

最終仕様決め

動作確認はできたので、最終仕様を決める。

センサー配線長2m
プローブにする防水ケースチタン合金製 防水ケース 高さ47×外径16mm、内径13mm
(錆びにくいものを探した結果、チタン合金となった)
SwitchBotからの配線取り出し温湿度計上部から4ピン出し、プローブとはコネクターで接続する
(配線長変更や、プローブが浸水して故障・交換することを想定)

SwitchBot温湿度計本体の配線取り回しとケース加工

SwitchBot温湿度計本体から配線の引き出し加工(ピン出し)と、裏面ケースが元通りにハマる様、配線が干渉する部分を加工していく。

表面ケース上部の穴あけ
ピンはセンサー基盤を切断したものを流用するため、穴をドリルとヤスリで広げた。

配線の取り回しを確認して、配線の収まりとBluetoothペアリングボタンへの干渉しないようにする。

背面ボディーは斜線部分を目安に干渉する部分をカットした。

ピンに配線をはんだ付けし、ケースに取り付ける。

学生時代にアルバイトしていたワイヤーハーネス工場にあった「はんだ付け不良見本」みたいになってしまった....
位置を確認
液体プライスチック BONDIC EVOで固める
紫外線を照射して4秒で固まる優れもの!
光は直視しない方が良いらしい。

そして背面ボディーも元通りに。

良い感じに収まったので、予備のセンサーで動作確認してみた。

ばっちりです。

防水ケースの加工(穴あけです)

「錆びにくいだろう」とチタン合金製を買ってしまったが、そもそも手持ちの工具で穴あけできるのか?色々調べてみると低速で穴あけしないと削りカスが舞うと危ないとか、油使えとか、、、なんだか難しそうだ。まあ、純チタンじゃないだろうから気にしても仕方ない。やってみよう。

まずは傷つかないようにマスキング。

手持ちのステンレス用3mmドリル刃で試してみる。
切りくずが出てるので何とかなりそう。

穴あけ開始から約15分、ようやく穴が開いた! たったこれだけなのに結構時間がかかった。

内径測ってみる。
4.5mm いい感じ。

ジャーン。穴開け加工完了。

防水ケースへのセンサー組み込み

いよいよ防水ケースにセンサー入れる。

まずは、センサー基盤だけを切り離す。

防水ケースの穴にケーブルを通し、各電線の被覆を剥いたら銅線にはんだメッキを施し、φ1.5の収縮チューブを忘れず通す。

銅線にはんだメッキをしたところ

センサー基盤に銅線をはんだ付けする。

防水加工

センサー基盤全体はφ8の収縮チューブで全体を覆ってしまった。
シリコンコーキングはコーキングガンを使おうにも大きすぎるので、製菓用の絞り袋に詰めて使うことにした。

いよいよシリコン充填。

製菓用の絞り袋で充填する
やり過ぎたかなり?センサーが壊れないか心配

いよいよ防水ケースに入れたセンサー配線を接続!

配線を接続してみる。

動いた!

使用したシリコーンコーキングは空気中の水分で硬化するらしいので
このまま湿度が安定するまで3日間ほど放置した。

防水ケースを密閉する

湿度の下がり方が27%前後で安定してきたので、完全密閉する。

接続部付近をマスキング
ケースに付属するOリングの取付を確認しネジ部分にシリコン子^キングを塗る
密閉したら継ぎ目にもシリコンコーキングを塗る

もう一度、内部の湿度が下がって安定するまで追加で5日間放置した。

3月23日から湿度が下がり始め、3月29日頃からは28%で安定している

防水ケースのシリコン保護(対エビ対策)

ヤマトヌマエビが「カジカジ」しない様、いたずらされたくない部分をφ15の熱収縮チューブで保護した。ようやく完成だ!!

完成しました。結構カッコよいかも。

防水テスト&シリコンのアク抜き

シリコンコーキングを飼育水槽に使う場合は3日間ほどアク抜きが必要とのことで、防水テストを兼ねて水に沈める。

計測精度・レスポンスともに実用上まったく問題ないことが分かった。(1分位で安定した)
あとは、防水ケースに浸水しなければよいのだが・・・

いつも水替え時に使用している水温計
14.3℃ ドンピシャだ!
しかし24hで湿度が4%程度上がっている・・・
しばらく経過を見守ることにする。

温度変化よりも湿度変化が気になる。
アク抜きが終わるまでに湿度は何%まで上がるのだろうか。

13:00前の急激な温度低下は、アク抜き中の水を入れ替えたため。

案の定、浸水しているようだ

グラフを見て頂きたい。水に沈めてアク抜きを始めてから順調?に防水ケース内に水が浸透しているようだ。防水加工をやり直そうかとも考えたが、せっかくなのでセンサーが壊れるまで試し、限界を探ることにした。

いざ水槽へ!!

水圧を考慮して水面付近に設置。

部品調達を開始してからここまで約2ヶ月。時間かかったなぁ。

ベンチマークのPH計の水温計とドンピシャ

経過は順調。しっかり水温コントロールされていることが分かる。あと、Alexaに水槽の水温を聞けるようになった。

パーツ情報

名称型番等金額入手先
SHCT3SHTC3高精度デジタル温度および
湿度センサー測定モジュール
444円(税込)Amazon (Reland Sun)
4芯電線AudioTechnica AT7124F 5m116円/
m(税込)
楽天 サウンドアウトレットBits通販事業部
防水ケースPR-TITACASE-MEDI1,240円(税込)楽天 株式会社プランドル
液体プラスティック(レジン)BONDIC EVO BD-SKEJ
SK18394
2,737円(税込)楽天 THINK RICH STORE
※価格およびリンク先は2023年4月3日現在のものです。
※価格、リンク先などは変更されることがあります。
※送料は含まれておりません。

さいごに

既製品ではできないことにチャレンジする。
上手くいったときの喜びと、改造の醍醐味を味わった。
皆さんにとって少しでもヒントになれば嬉しいです。

防水性を強化したプローブ製作はこちらの記事を参照してください→「SwitchBotで水温を測る!【防水プローブ再製作編】

関連記事「新・SwitchBotで水温を測る!【SHT40版】その3」

コメント

  1. init68k より:

    まねて同じものをこさえようとしたのですが、うま稼働してくれませんでした。
    表記が、温度0.0度、湿度1% になってしまう。

    どうも写真と「C12」の位置が異なる(Vddの真下に来てる)のですが、基盤のリビジョンが変わったとかありますかね?

    願わくば新しいリビジョン基盤の記事を期待したい。

    • tech.boule より:

      init68kさん こんばんは。
      ブログ読んで頂き有難うございます。
      最新基盤のリビジョンが変わっているのかもしれません。
      私の参考にさせて頂いた「F&FのBlog風Next」さんの
      以下「Wi-Fi/小電力/ワイヤレス温湿度計」記事からも
      部品構成と基盤が変わっていました。
      https://www.fnf.jp/blog2/2021/12/post-2901/

      ただ、基本的には新SHTC3への+,-,SDA,SCLの4つが接続できていれば大丈夫だと思います。
      液晶表示がされているということなので、施工された配線周りとSHTC3センサー取り外した後の
      基盤部分でSDA,SCLの短絡等がないかご確認されると良いかと思います。

      近々SwitchBotの新製品を買おうと思ってましたので、ついでに最新の温湿度計も買ってみます。
      また何か分かればご連絡させていただきますね。
      よろしくお願いします。

    • tech.boule より:

      init68kさんこんにちは。最新のSwitchBot温湿度計を入手しました。
      分解したところ使用されているセンサーがSHTC3からSHT40(シルク印刷はSH40)に変更されているのを確認しました。
      これが原因と思われます。
      詳細は関連記事として近日中にアップ予定です。

    • tech.boule より:

      init68kさん、お待たせしました。
      新しいリビジョン基盤の記事をUPしました。(改造は その3参照ください)
      新・SwitchBotで水温を測る!【SHT40版】
      新・SwitchBotで水温を測る!【SHT40版】その2
      新・SwitchBotで水温を測る!【SHT40版】その3
      ※センサーがSHTC3からSHT40に変更されいます
      ※改造中センサー無の状態で電源を入れると、「温度0.0度、湿度1%」になりました

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